ベンゾジアゼピン系薬剤について

 ベンゾジアゼピン系薬剤とは、不安をとったり睡眠を促したりする効果の強い薬です。
 即効性があること、キレがよいことなどから、わが国では以前から、心療内科・精神科に限らず、内科など他の診療科でも日常的に処方されてきました。

 ただし、依存性があり、①長期間続けて使用すると効果が減っていくため、薬の量を増やさなければならなくなること、②急にやめると強い離脱症状がでること、③効果がはっきりしているので心理的に手放せなくなること、といった問題があるため、投与日数に30日間という制限があります。

 とくに高齢の方が長期間服用した場合、認知症をひきおこすということは知られていませんが、日中の思考力集中力を低下させて、物忘れや勘違いなど認知症に似た症状を引き起こす危険があります。
 筋肉の力が入りにくくなる筋弛緩作用もあるため、ふらつきを起こしやすく転倒のリスクが増えます。
 
 上記のことから、のまこころクリニックでは、できるだけベンゾジアゼピン系薬剤を処方しない方針としています。

 厚生労働省が、ベンゾジアゼピン系薬剤の依存性について解説していますので、ご参照ください。

主なベンゾジアゼピン系抗不安薬

作用の強さ一般名商品名
強いエチゾラム
ロラゼパム
クロキサゾラム
ブロマゼパム
デパス
ワイパックス
セパゾン
レキソタン セニラン
中ていどジアゼパム
アルプラゾラム
ロフラゼプ
フルジアゼパム
セルシン ホリゾン
ソラナックス コンスタン
メイラックス
エリスパン
弱いクロチアゼパム
メダゼパム
リーゼ
レスミット

主なベンゾジアゼピン系睡眠導入剤

作用時間一般名商品名
超短時間トリアゾラム
ゾピクロン(*)
エスゾピクロン(*)
ゾルピデム(*)
ハルシオン
アモバン(*)
ルネスタ(*)
マイスリー(*)
短時間ブロチゾラム
リルマザホン
ロルメタゼパム
レンドルミン
リスミー
エバミール ロラメット
中間フルニトラゼパム
エスタゾラム
ニトラゼパム
サイレース
ユーロジン
ベンザリン ネルボン
長時間クアゼパム
フルラゼパム
ドラール
ダルメート

(*)は非ベンゾジアゼピン系薬剤ですが、ベンゾジアゼピン受容体を刺激して催眠作用を示します。ふらつきは少ないですが、依存形成のリスクはあります。この中で、エスゾピクロン(ルネスタ)だけは依存リスクが少ないと判断され、長期間投与が認められていますが、依存形成がまったくないわけではありません。

比較的安全な睡眠導入剤

 非ベンゾジアゼピン系睡眠導入剤で、依存形成のリスクがなく比較的安全に使用できるものは、以下の3つです。

作用一般名商品名
オレキシン受容体拮抗薬スボレキサント
レンボレキサント
ベルソムラ
デエビゴ
メラトニン受容体作動薬ラメルテオンロゼレム

(2023年5月作成)